◆受講資格
今年度の大会・講習会は、正会員(他支部会員含む)、学生会員(一般学生含む)、一般の方も事前申し込みが可能です。
◆講習会の内容
講習会 A
10:30~12:00 ワークショップ
定員30名
(定員に達しました)
表現アートセラピーきほんのき
狩谷
美穂 (かりや みほ)
<講義概要>
表現アートセラピーとは絵画、音、ドラマ、ダンス・動き、詩・物語などを複合的に用い、心と身体、スピリチュアリティにアプローチする全人的なプロセスです。芸術表現は人間にとって根源的なものであり、すべての人が芸術家であるという考えを基に、何を表現することも許され、作品の上手下手を問わず、分析解釈しないパーソンセンタードアプローチに基づいた方法を体験していただきます。表現アートセラピーは多様性を尊重しお互いをケアする姿勢をとり、子どもから高齢者まですべての年齢層へのセラピーや様々な対人援助に応用することができます。ワークショップでは、絵画、詩、ムーブメント、ドラマ、音などを複合的に用いるマルチモダル(複合媒体)の手法を体験的に学びます。ストーリーがドラマになり、ドラマが絵になり、絵が詩になり、詩が音楽になり、音楽が動きになり・・・と自らの創造性へと繋がり、イメージが展開することで得る気付きや、変容を体験学習します。
*動きやすい服装でご参加ください。
*白の八つ切り画用紙(270×380)2枚と、クレヨンまたはクレパスをご持参ください。
<講師プロフィール>
広島文化学園大学学芸学部音楽学科専任講師。ニューヨーク市立大学音楽学部音楽学科卒業。レズリー大学大学院表現芸術療法学部音楽療法・精神カウンセリングコースにて修士課程修了。米国の精神病院、障害児施設等で臨床経験を積む。帰国後は、広島県内の精神病院や知的障害者施設にて表現アートを取り入れた音楽療法実践を行うと共にストレスケアを目的とした一般成人対象の表現アートと音楽療法のワークショップを行う。
講習会 B
1
0:30~12:00 講義 定員320名
ノードフ・ロビンズ音楽療法の基本概念と実践
岡崎
香奈 (おかざき かな)
<講義概要>
音楽療法の代表的モデルの一つであるノードフ・ロビンズ音楽療法は、即興音楽を主に使用したアプローチであり、創造的音楽療法とも呼ばれています。基本となる概念に「ミュージック・チャイルド」があり、これは「すべての人間が音楽に反応する特性を持ち、人は病気や障害があっても音楽を通して繋がることができる」ことを表しています。本講義では、この音楽療法アプローチの基本概念を紹介し、創立者であるポール・ノードフ博士とクライブ・ロビンズ博士の音楽療法実践記録(音源、映像)を元に、「音楽を通して相手と響き合う」臨床例と音・音楽の使い方について解説します。即興を使うセッションをしていない方も、音楽の臨床的機能を理解し、実践に活用することができます。
<講師プロフィール>
(DA,MT-BC,NRMT,ARAM)
芸術学博士(ニューヨーク大学)。東北音楽療法推進プロジェクト顧問。日本音楽療法学会理事および同認定音楽療法士、英国・米国公認音楽療法士。ノードフ・ロビンズ音楽療法士および教員資格取得者。英国王立音楽院ピアノ科首席卒業。ロンドン、ノードフ・ロビンズ音楽療法センター養成課程修了、ニューヨーク大学大学院音楽療法学科修士課程および博士課程修了。岐阜県音楽療法研究所主任研究員、ニューヨーク大学専任助手、洗足学園音楽大学准教授等を経て、現在フリーの音楽療法士として活動。障害児・者、健康成人対象の音楽療法を実践し、またスーパーヴィジョンや臨床的音楽レッスンを行っている。世界音楽療法連盟・資格認定委員およびジャーナル編集/査読委員。主な著書に、『音楽療法のための即興演奏ハンドブック』(共著、音楽之友社 1996)、訳書に『障害児教育におけるグループ音楽療法』ノードフ&ロビンズ共著(共訳、人間と歴史社 1998)などがある。
講習会 C 13:00~14:30 講義 定員250名
統合医療:医療現場における音楽療法
Joanne Loewy (ジョアン・ローウィ)
<講義概要>
現在、音楽と医学について様々な研究開発が進められ、医療における音楽の活用は拡がっています。ベス・イスラエル医療センターでは、総合病院として院内のあらゆる部署の患者を音楽療法の対象としており、NICU(新生児集中治療)、緩和ケア、アウトリーチ(派遣活動)として喘息の子どもたち、エイズ患者などの経験を多く持っています。入院のみならず外来の患者も対象としています。そのコンセプトは4つの柱[CORE]、C=Clinical Care(医療)、 O=Outreach(派遣活動)、R=Research(研究)、E=Education(教育)であり、「知・体・心をつなげたケア」を重視しています。この講座では20年間の音楽療法臨床実践と、その研究から得た音楽療法の効果について、産科から終末医療までのアセスメントと評価を含めて提示します。映像を通して紹介する特別な事例は、音楽には心と身体そして魂を統合する力があることを伝えることができるでしょう。
<講師プロフィール>
芸術学博士(ニューヨーク大学)。米国公認音楽療法士。1994年よりベス・イスラエル医療センター(ニューヨーク)にルイ・アームストロング音楽医療センターを創設し、センター長。専門分野は、「音楽療法のアセスメント」、「解釈の研究」、「トラウマ(心的外傷)」、「スーパーヴィジョン」であり、研究テーマは「音楽療法と鎮静作用」、「アセスメント」、「苦痛」、「喘息」である。近年はNICUの音楽療法について小児科専門誌に発表。『小児科の痛みへの音楽療法』『NICUにおける音楽療法』を含めたいくつかの本の編集、『終末期の音楽療法と介護者へのケア』『グリーフとトラウマへの音楽療法と音楽と医療の統合発展』『音楽、呼吸、健康』の共同編集者を務め、「音楽と医療」国際学会の創設メンバーでありその専門誌や『代替医療』誌の共同編集者を務める。
講習会 D 13:00~14:30 ワークショップ
定員30名
(定員に達しました)
身体表現ワーク「カラダは天才!!だれでもコリオグラファー(振付家)」
北村
成美 (きたむら しげみ)
<講義概要>
説明の言葉は一切使わずに、呼吸・擬音・かけ声・物音を立てる、などの音を駆使して、北村が参加者さんをリードします。参加者さんには同調したり、反応したり、自分なりの動きを見つけていただきます。その動きをリーダーがまね、さらにそれを参加者さんがまねていきながら、ダンスをつくっていきます。ダンスを教え習う関係ではなく、対等な関係で、掛け合いながら、キャッチボールしながら共同作業を進めていきます。*動きやすい服装の上、裸足もしくは靴下でご参加ください。(ダンスの中に足指を使う動きがありますので、靴下を脱げるようにご準備ください。足元の寒さが気になる方はスパッツやレギンスを着用してください。)
<講師プロフィール>
通称、なにわのコリオグラファー・しげやん。6歳よりバレエを始め、英国ラバセンターにて学ぶ。’00年ソロとなり「生きる喜びと痛みを謳歌するたくましいダンス」をモットーに、バカおどり道を邁進中!!ソロダンサーとして国内外で作品を上演するほか、小学校・中学校・高等学校・特別支援学校・福祉施設での作品制作、美術家・音楽家・振付家とのコラボレーションにも積極的に取り組んでいる。近年は、あらゆる世代・多様な個性をもつ人々と協働し、大型コミュニティダンス作品を日本各地で発表。平成15年度大阪舞台芸術新人賞、平成22年度滋賀県文化奨励賞を受賞。平成16年より「糸賀一雄記念賞音楽祭」身体表現ワークおよび振付担当。財団法人地域創造公共ホールダンス活性化支援事業登録アーティスト。
講習会 E 13:00~14:30 講義とワークショップ 定員70名
(定員に達しました)
音楽療法における既成曲の臨床的活用法
―症例とワークショップから―
岡崎
香奈 (おかざき かな)
<講義概要>
音楽療法セッションにおいて既成曲を活用する際、どのような視点から選曲・応用するとよいでしょうか。なぜ「その曲」なのか?クライエントと「その曲」との関係性はどのようなものなのか?われわれ音楽療法士は、対象者の年齢、疾病・障害、状態、ニーズによって変化する目的に臨機応変に対応しながら、臨床的に既成曲を活用する責任と役割があります。本講義では、各セッション手順における既成曲活用の臨床的観点、および活動別に分けた具体例を紹介し、ワークを通して効果的な介入の方法を体験します。
<講師プロフィール>
講習会Bの講師プロフィールを参照
講習会 F 15:00~16:30 講義 定員250名
NICU(新生児集中治療)、がん治療、呼吸器系治療、福祉サービスとしての音楽療法
Joanne Loewy (ジョアン・ローウィ)
<講義概要>
治療を継続するということは、患者が病気(illness)を治すことだけではなく、同時に健康(Wellness)に過ごすことについても取り組むことが大切です。音楽療法士を含む医療従事者は、幼児から大人まで患者がその生涯において健康と病気にうまく対処できるように、有効な方法で支援します。この講座では、音楽療法の理論に基づいた音楽医療を実際に体験し、医療現場において病気を受容し健康習慣を高めるのに有効と認められたいくつかの音楽心理療法を紹介します。
<講師プロフィール>
講習会Cの講師プロフィールを参照
講習会 G
15:00~16:30 講義 定員60名
粘土が子どもを導く
吉永
太市 (よしなが たいち)
<講義概要>
1960年代、施設の知的障害児への理解は低いものであった。彼らの自力での行動は期待できず、すべて他からの指示、援助を要すると考えられていた。教育の目標は、いかに一般人に近づけるかにあり、そのために程度を低めて反復訓練することが主であった。しかし彼らに自発性がないというのは誤認識で、能動的で個別性があるように感じられた。重度で殆ど動きを外に表さない子どもでも、彼らの中には旺盛な活動が起こっているような気配があった。彼らを知るために、彼らの中にあるものを外へ出そうと試み、その媒体として粘土を取り上げた。そこでは子どもの方から何かを始めるまでいっさい指示や干渉を避け、子どもの行動全てを受けいれることにした。そして粘土によって誰もが行動を起した。様式は多様であったが、彼らは粘土にそれぞれの内部を託し表現した。その自発性は「遊び」という形を通しておこされた。「遊び」に没頭しそこから湧き上がる喜びに身を任せ、人間の根源ともいえる、考えを超えた世界からの表現を可能にするのである。表現する彼らが示すエネルギーは、無尽ともいえるものであったし、おのおのが個別性を際立たせた。全て粘土によって起こされ、導かれたのである。
<講師プロフィール>
滋賀県の知的障害者更生施設「一麦寮」の元寮長。一麦寮では長年、知的障害者の自由で創造的な人格形成の手段として、粘土を使っての創作活動に取り組み、早くより作品展を全国的に開催し、関係者の間で注目された。1981年京都市美術館で、京都・滋賀の施設による「土と色、ちえおくれの世界」展を開催し創造活動の普及、啓蒙活動を展開。1997年には、スイス・ローザンヌにあるアール・ブリュット収集館の依頼を受け、京都の「みずのき寮」の絵画と「一麦寮」など滋賀県下4つの施設の立体作品を出品した展覧会「アート・イン・インコグニド」を開催し世界的に大きな影響を与えた。現在も、障害者芸術活動の先駆的指導者として、幅広く活動している。
講習会 H
15:00~16:30 ケーススタディ 定員45名 経験者向け(3年以上の臨床経験)
(定員に達しました)
交流という視点から掘り下げる
石村
真紀 (いしむら まき)
<講義概要>
音楽が有効に働くのも働かないのも人次第。現場ではどのような観点・感点・勘点でクライエントと向き合うのか? そこでは「クライエント・セラピストの相互関係」を検討する必要がある。一般に「療法」といえば、クライエントの変容だけに焦点を当てがちだが、それと同じ程度に、セラピストである自分自身の心の動きも重視し、「セッション内容の吟味」「洞察」「クライエントからどのような影響をうけて何を感じたのか」にも目を向けることが重要と考える。よって、セラピストの“自分自身をみる目とクライエントをみる目”双方に焦点を当て、相互交流の視点から講師自身の事例を掘り下げてみたい。受講者との積極的なやり取りも期待する。
<講師プロフィール>
大阪教育大学大学院音楽教育学修士課程修了。ロンドンのノードフ・ロビンズ音楽療法センター(CityUniversity London)にてP.Gディプロマを取得(1992年)。同志社女子大学専任講師を経て現在、相愛大学音楽学部准教授、京都市立芸術大学・大阪教育大学非常勤講師、兵庫県音楽療法士認定審査会委員。おもに総合病院にて発達障害の児童・青年を対象に、身体障害者施設にて成人を対象に臨床を行う。著書に『音楽による表現の教育』(共著・晃洋書房) 『音楽療法とヒューマニティ』(共著・音楽之友社) 『即興による音楽療法の実際』(共著・音楽之友社) 『地域実践心理学(実践編)』(共著・ナカニシヤ出版) 『あなたに伝える音楽療法のエッセンス』(単著・音楽之友社)など。即興音楽のピアニストとしてコンサートも行う。
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