ご挨拶

 初夏の候、今年の春は花々の色がひと際明るく感じられたように思います。
 今期より支部長を拝命しました伊藤美恵です。
 2020年2月、最初は私達の日常とは関係のないところで起きた災難のように受け止めていた新型コロナウイルスの話題が、瞬く間に私たちの日常を大きく変えてしまうことになりました。あれから3年余り経ち、やっと感染拡大に対する緊張から解放されつつあるように思います。
 今年は、開花の早かった桜ですが、幸運にも長い期間楽しめたように思います。満開のネモフィラ、チューリップ、芝桜と満面の笑みを浮かべた人々の映像がテレビから流れてきます。
 新型コロナウイルス感染拡大という、世界中を席巻した禍を経験して、世の中は大きく変わったように思います。当たり前と思っていたことが当たり前ではなくなり、暮らしも仕事も大きく見直す必要に迫られました。そして人々は無理と思ったことを可能にする方法を考え、編みだし、広めてきました。
 その一方で、詐欺や殺人、暴力、紛争など、暗く、悩ましいニュースも後を絶ちません。
新型コロナウイルスという未曽有のウイルスに屈することなく、暮らしを切り開いてきた人類が、どうして自分達の未来を危うくする行動に歯止めをかけられないのでしょうか。
人類が・・・いえいえ、この地球上の“いのちあるもの”の全てが平和に暮らしていけるように私にできることはあるのだろうか?と暗澹たる気持ちになってしまいます。
 でも、目の前のクライエントの“今日・今のいのちの時間”としっかり向き合うことの延長線上に世界平和があるのだと思い直し、今できることを精一杯やろうと思いを新たにしています。
 みなさんも、毎日のさまざまな出来事の中で、いろいろなことを感じておられることと思います。支部の活動は、そんな音楽療法士のみなさんと一緒に、今できることを考え、実行していくための情報共有や、学びの機会の提供をしていきたいと思います。
そしてこれからの音楽療法や音楽療法士の役割やあり方について、音楽療法の歴史や先人の業績から学び、未来へ向けたチャレンジに取り組んでいきたいと思います。
 そのための組織の在り方、活動の内容など、地に足をつけて、クライエントの“いのちの時間”を第一に考える視点を忘れずに、積極的に取り組みたいと思っています。
 会員のみなさまと共に作っていく支部活動です。どうぞ、忌憚のないご意見、可能な限りのご協力をお願いしたいと思います。