ご挨拶

 2020年は音楽療法士にとって全く予想だにしなかった苦しい一年となりました。そして新型コロナウイルス感染症収束の期待をもって迎えた2021年は、年明け早々に2回目の緊急事態宣言が発出され、この原稿を書いている5月初旬の時点で、感染状況に未だ光明は見えていません。近畿支部会員の中には、ご自身やご家族、ご親族が心配な病状にあるという方もおられるかもしれません。心よりお見舞い申し上げます。
 その中でも第19回近畿学術大会が多くの支部会員のご協力のもと、実行委員の皆さまのご尽力で予想をはるかに超える方々が参加され、近畿支部初のオンライン支部大会として無事に開催できたのは本当にありがたいことでした。開催にお力をお貸しくださった方々、ご参加くださった方々に御礼申し上げます。
 第19回大会において課題研究委員会が募集した「新型コロナ感染症流行に対応した実践報告」からは、感染予防のために生じたさまざまな制約に会員の皆さまが敢然と立ち向かい、創意工夫と、それまでに培った人脈などの資源を駆使して音楽療法を希望する方々に届けた様子が窺えました。私自身も3か月近い中断を経て再開した実践現場では、歌唱中心のセッションがほとんどであったことから、大幅なプログラムの見直しを迫られました。音楽に合わせた運動や楽器活動を色々考える中で、これまで音楽という豊饒の海のほんのひとしずく程度しか音楽療法に利用してこなかったことに気づき、制約の中で色々な可能性を模索する喜びも感じております。
 コロナ禍で外出を避ける人々には気持ちの発散の機会の減少によるストレスの増加や筋力の低下、認知能力の低下などの悪影響が指摘されています。このような問題に対して対応できる音楽療法の役割は更に大きくなったと言っても過言ではないでしょう。今こそが音楽療法の出番なのです。
 心のうるおいとなるような楽しみの機会の多くを感染予防のために奪われ、生活全般において不自由な状況ですが、その中でも音楽療法を必要とする方々に受けていただくための努力を続けましょう。音楽療法は「不要不急」の活動ではないのだということが社会に理解されるためにも今が重要だと考えます。明けない夜はありません。
 末筆ながら近畿支部会員の皆さま、ご家族の皆さまのご健勝をお祈りいたします。