ご挨拶

 初夏の候、近畿支部会員の皆さま、ご息災でいらっしゃいますでしょうか。
 本来でしたら、年に一度の支部ニュースでは、希望に満ちた明るいご挨拶をさせていただきたいのですが、この原稿を書いている5月初旬の時点で、日本全土に緊急事態宣言が発令されており、全く先の読めない状況となっています。
 ご自身やご家族、ご親族が心配な病状にあるという方もおられるかもしれません。心よりお見舞い申し上げます。
 人と共に歌うこと、会話することが感染につながるという新型コロナウイルスの蔓延は、多くの音楽療法士を思いもよらぬ苦境に追い込みました。いつ自分や家族が感染するかわからないという健康上の不安、いつ仕事を再開できるかわからないという経済的不安、コロナ禍が終息した時、これまで心の拠り所だったさまざまな場所が失われて焼け野原のように荒涼とした風景が広がっているのではないかという不安が私たちに重くのしかかっています。この原稿を皆さまがお読みになる頃には、少なくとも雲の切れ間から陽の光が差す状況になっていることを祈りつつ、2019年度を振り返ってみます。
 2019年度の前半は、第19回日本音楽療法学会学術大会の準備に明け暮れました。募集の呼びかけに応募してくださった実行委員の皆様と、近畿支部委員、役員がまさにONE TEAMとなって広い会議場を駆け回り、滞りなくプログラムが進むよう全力を注ぎました。おかげさまで講習会には1,520名、大会には2,034名が申し込まれ、3日間で延べ約5,500名の方々にご参集いただきました。各プログラムの内容も、実行委員のホスピタリティも多くの参加者から絶賛され、近畿支部の底力を全国に示すことが出来たと胸を張って申し上げたいと思います。研究発表に応募してくださった方々、参加してくださった方々、開催にご協力いただいた方々、全ての皆さまに心より御礼申し上げます。
 2019年度の後半は第18回近畿学術大会の準備にいそしみました。研究発表要旨集・講習会資料集も出来上がり、あとは本番を迎えるばかりという時になって、大会は現地開催せず要旨集の配布をもって実施、講習会は中止となりました。これは、本当に苦渋の決断で、涙が止まりませんでした。参加を楽しみにしてくださっていた皆さま、研究発表やラウンドテーブルの準備に専心してくださっていた皆さまのご期待に応えることが出来ず、今も断腸の思いです。講習の準備をしてくださった講師の先生方、開催に向けてひたむきに取り組んでくださった実行委員の方々には感謝申し上げますと共に、この経験を後に何かの形で活かしていただけるよう祈っております。
 しかし、嘆いてばかりではいられません。戦争や天災や疫病の惨禍の中でも先人が途絶えさせずに守り育ててきた音楽という素晴らしい宝物を人々の健康のため、幸福のために活かす仕事を私たちは選びました。心折れることなく、音楽療法を必要な人に届けるための工夫と努力を続けましょう。
 末筆ながら近畿支部会員の皆さま、ご家族の皆さまのご健勝をお祈りして、筆を置かせていただきます。